塾に入れた以上結果を求めるということは当然のことです。しかし長い目で見て成長を見守ることをしない限り、本当の実力が付くことはありません。

将来的に大きな武器になるものは、コツコツ積み上げてきたものだけなのです。

「急成長」なんて言葉がありますが、この言葉の背景をはき違えてはいけません。今までコツコツ準備して鍛えてきたことが、突然芽を出しただけの話です。周りの人間から見れば急に成長したように見えますが、本人からすれば、ずっと準備してきたことが結果につながっただけです。

入塾３ヶ月後にテストがあったとしても私はそのテストで点数を求めることはしません。３ヶ月で結果が出る子は、入塾以前からある程度の準備ができている子です。遅かれ早かれ結果が出る子です。そうでない子は、まずは勉強への取り組みと、テスト勉強に対する意識を変えることからです。

人はすぐに理想を求めがちです。塾に入れたんだから子供がすぐに毎日机に向かって集中して勉強することを求めます。

しかし環境を変えたからと言って、すぐにそれに対応できるものではありません。特に勉強はそうです。半年で変化の兆しが見え、１年で身に付けばかなり良い方です。

はっきり言って今まで学習習慣のなかった子が、いきなり毎日勉強できるようになるわけがありません。幾多の失敗と反省、そして勉強への取り組みと意識を変えていく中で少しずつ勉強の習慣と言うのを体に覚えさせていくものです。

難しいのは、これを外部から、やりなさい！と命令しても全く意味がないということです。人から言われてやったことに何の価値もないのです。自分で考え自分で行動し、そこから結果を生むことに価値があるのです。

だから時間がかかります。人が能動的に変わるよう仕向けることは簡単ではありません。

短期間で点数を上げてほしい、すぐに勉強する習慣づけをしてほしい、と言う方は当塾は向いていません。そういう方は厳しい鬼教師が支配する学習塾に行かせてください。それなりに早く身に付くと思います。でも恐怖による支配は自立を阻害します。自分が必要だからやる、ではなく、怒られたくないからやる、という思考になるからです。塾を卒業すれば、また元通りです。

私は子供にたくさん失敗してもらいたいと思っています。やるべきことをやらずに結果につながらないのは当然であること、何かを変えるためにはまず自分が変わらなくてはいけないこと、自分が変わるために塾を利用するということ、これら意識はすべて子供の失敗体験がもとになっています。子供には失敗が必要です。

成績を上げます！短期間で結果を出します！

そんなことを言える塾って本当にすごいと思います。私にはとてもじゃないですが言えません。

最初は歯がゆいかもしれませんが、長い目で子供の成長を見守っていくべきだと考えます。もちろんあまりにもカリキュラムが杜撰で、適切なフォローができていなければ、どれだけやっても成長は望めないので、見限りを付けることも必要ですが、そうでなければ子供に成長を機会を与えるべきです。

周りの人間も疲れますしね。ずっと子供の一挙手一投足に注視して、その度に一喜一憂していては、精神的に参ってしまいます。大人も子供も、やれるときもあればやれないときもあるのですから、自立するためには子供にとってある程度の自由な環境も必要です。