こと中学生に関して、指示されたことをしっかりやれる子であれば、よっぽどカリキュラムが杜撰な塾でない限り、大体テストの点数を上げることはできます。

私がもし、「次のテストで今より２０点アップさせてほしい。受験のことは一切考えなくても良いので、次のテストだけでも点数を上げてほしい」と保護者の方より発注されたとしたら、例えば、テスト対策プリントを何枚もコピーしてやらせたり、確実に出るところだけを反復してやらせたりして、目の前の点数を取りにいかせることは可能です。（もちろんそんな発注は受けませんが）

実際バイト講師時代は、このようなやり方でテストの点数を取りに行かせていました。今での多くの個別指導塾でこのような指導をしているのではないでしょうか。テスト直前に対策講座を開講して、出るところをピンポイントで練習するのです。各学校の先生の出題の癖を考えてプリントを作ることもありました。テストで出るところは大体把握しているので、それだけで５～１０点程度点数は上がりました。

当時は高校進学と同時に卒塾していく子が多く、「高校進学＝塾としてのゴール」のような考えもあったのかもしれません。とにかく、卒塾して以降のことはしっかり考えていなかったです。

そうやってあれこれこちらから与えて、それをこなすことで点数を取りに行っていた子が、高校に進学していざ自分でテスト勉強しようと思ったとき、どうすれば良いか分からない、と言う子が多かったのです。もちろん全員がそうではなかったと思いますが、塾への依存度が高かった子ほど、高校で成績を下げている傾向にあったのです。

「自立学習」という考えに至ったのはそういった経験があります。わざわざ自塾を設立したのもそういった考えが根底にあります。

目先の点数を求めた学習は長期的に見ればその子の考える力を奪ってしまいかねないと思ったのです。動物園で餌も水も与えて敵もいないオリの中で育てた動物を、ある日突然野生に放つようなものです。あまりにも無責任ではないか、と。

当塾では、そういった指導から生徒を解放して、できるだけ自分で考えて学習できるカリキュラムを組んでいます。もちろん完全自由ではなく、ある程度の枠の中でではありますが、自分の考える理想的な自立学習を追い求めることはできていると思います。まだまだ未熟で完璧とは言えない部分もありますが、理想を求めて試行錯誤しながら運営していこうと思います。

私も段取りが悪い子ほど、あれやれこれやれ、と言ってしまいがちなので、そんな時はこの記事を見て落ち着こうと思います。(笑)