２０２１年の公立高校受験が終了しました。受験生の皆さん本当にお疲れさまでした。

多くの中学生にとっておそらく人生で初めての受験だったと思います。定期テストのように何度もチャンスがあるものではなく、たった１度のテストで進路が決まるのが受験です。その受験で合格を得るため、みんな本気で勉強に打ち込むのが受験勉強です。

どの高校を目指すにせよ、受験に向けて本気で勉強する経験というのは高校受験の合否以上に大きな意味を持ちます。おそらく受験生の皆さんは合否だけに意識が向くでしょうし、特に不合格だった子にとってはそんなことを言われても慰めでしかないと思うかもしれません。しかしいろいろな子の高校受験、大学受験を見てきた私からすれば、高校受験の合否よりも、高校受験合格に向けて必死で勉強した経験の方が遥かに価値があります。

合格か不合格か、その喜びやくやしさは新しい高校に通い始めるたかだか２，３週間程度しか続きません。新しい生活が始まってしまえば、そんな過去の喜びや悲しみに浸ってられるほど暇ではありません。新しい環境に慣れて、そこで楽しめる子がほとんどだと思います。一方で、本気で勉強した経験というのはこれからの大学受験に向けて確実に生きてきます。１日１，２時間程度しか勉強せずに合格できた子と、合否に関わらず１日５、６時間勉強した子では、勉強に対する耐性が全く違います。

はっきり言いますが、中学の勉強と高校の勉強は全く別です。一旦リセットされると考えてください。大学受験に向けていざ長時間勉強しなければならない局面になったとき、勉強に対する耐性の差は本当に大きく出てきます。

必死で勉強したのに不合格だった子よりも、大して頑張らずに合格した子、あるいは受験期だけ必死で勉強して合格した子の方が大学受験で挫折する危険度は大きいです。

大して頑張らずに合格した子は、本当の天才でない限り、ただ要領がいいだけの子です。高校受験と違い、大学受験は要領だけクリアできるほど甘くはありません。いざ長時間、大量の勉強が必要になった時に、自分を追い込む経験をしたことがない子は、集中力や忍耐力の問題で勉強効率が全く上がりません。私が今まで見てきた中で、このタイプの子が本当に多いです。自分を追い込めず、誘惑に負け、集中できず、机には座っているけど、効率が悪い。集中してやれる子が１時間で終わる内容を３時間も４時間もかけてやる。それで本人は頑張っていると思っているわけです。自覚がないことが一番怖いです。言われない限り気づけないのですから。

また中３の夏休み以降から必死で勉強して合格できた子は、大学受験もこのやり方でいける！と高を括りがちです。高１で深海に潜ってしまっても、３年生になって頑張ればいいと考えて行動に移せません。残念ですが、こういうタイプの子の多くが手遅れになります。大学受験で夏休みから必死で勉強して合格できるなら大学受験など誰も苦労しません。これを痛感できるのが高３の９月以降です。受験４ヶ月前です。恐ろしいですね。

今は気づけないと思いますし、今後も自覚しないかもしれませんが、本気で頑張った子は、忍耐力、集中力、ここぞというときにやる瞬発力、継続する力など、合否以上に価値のあるものを身に付けています。これ以上は努力できないといえるくらい頑張ったなら、胸を張って下さい。そして、高校生になったら、自分が不合格だった高校に入学した生徒をごぼう抜きして下さい。悔しさと受験勉強で得た力をばねに頑張れば必ずできます。