大学受験に向けた勉強で本当に危機感を感じ出すのはいつ頃だと思いますか。

高校１年生から志望校合格に向けて頑張っている子はいると思いますが、危機感を感じている子はあまりいないでしょう。高校２年生も、テストが全然できなくても、学年の底辺にいたとしても、あと１年以上ある、という時間的余裕から危機感を感じづらいと思います。そして３年生も、今まさに受験に向けて必死でやっていると思いますが、まだ模試も数回程度しかなく、周りもようやく最近受験モードになってきたこともあり、ヤバいかも、とは思っていても、本当に危機感まで感じてやれている子はあまり多くないと思います。

人は、時間的に直前にならないと危機感を感じづらいです。どれだけ現状が目標と遠くても、時間にある程度余裕があるというだけで、なぜか危機感を感じないのです。これは特に受験において命取りになります。

時間的な意味で言えば、「大学受験において、危機感を感じた時点でもう手遅れ」です。

人は、自然災害や火事、事故、事件などといった自分にとって何らかの被害が予想される状況下にあっても、それを正常な日常生活の延長上の出来事として捉えてしまい、都合の悪い情報を無視したり、「自分は大丈夫」「今回は大丈夫」「まだ大丈夫」などと過小評価してしまいます。それが逃げ遅れの原因となると言われています。このことを心理学用語で【正常性バイアス】といいます。

勉強においても同じようなことが言えます。普段の模試からD判定E判定でも、それに慣れてしまっていれば、その結果を素直に受け止め、改善しようとせず、「まだ大丈夫」「今回は仕方ない」と過小評価し、適切な対策を怠ります。時間的にギリギリになって、ようやくヤバいと感じてやり出しても、その時にはもう手遅れです。３年間コツコツ一生懸命やって積み重ねてきた子に、たかが２ヶ月程度詰め込んだ子が敵うはずもありません。

正常席バイアスは、「予期せぬ事態への対応」です。そして大学の受験勉強における予期せぬ事態とは「大学全落ち」です。自分が全落ちする、という未来を本気で考えている子はいますか？どこかに受かって大学生にはなれるだろうと考えていませんか？今のままでは大学全落ちする可能性が高いのに、「自分だけはたぶん大丈夫」と高をくくって、やるべきことをしないのが、受験版正常性バイアスです。

危機感を抱いてから動くのでは手遅れ。目の前に土砂崩れや津波、雪崩が見えてから逃げ始めても遅いのです。危機を回避するには、危機感を感じる前から動かなければなりません。

災害なら、「避難」ですね。今は何ともないけど、このままだと津波や土砂崩れが来るかもしれないから避難しておこう、と考えた人は自分の命を救うことになるわけです。受験ではどうでしょう。少しでも兆候があったら、すぐに対応ことが大切だと思いませんか。

簡単なことです。学校の授業が理解できない。テストの点が取れない。模試がひどい。など、兆候なんて山ほどあります。それを忙しさや面倒くささにかまけてスルーした子が、最終的に時間切れの危機感を抱くことになるわけです。

今月末から夏休みに入ります。きっと１，２年生は部活に宿題に補習に忙しくなるでしょう。それ以外の勉強なんてやる暇ない、なんて思うかもしれません。でも、それが本当に必要かどうかは自分で一番よく分かるはずです。少しでも兆候があるなら、周りの子がやっていないプラスアルファをしっかり取り組んでいきましょう。