いろいろな子をみていると、勉強ができる子とできない子の大きな違いは、勉強量ややり方以上に意識の違いが大きいということに気づかされます。

世の中にはいろいろな子がいます。質問することが恥ずかしい、分からないことが知られたくない、人見知りで自分から声をかけられない…など、いろんな性格の子がいるわけです。しかしそれが許されて、周りが支えてくれるのは学生までです。

社会に出て働くとなった時に、こういった事情で周りが気にかけてくれることはありません。自分で問題を抱えた時には、自分で解決することが求められます。もちろん周りはサポートしてくれると思いますが、そのためには自分から動かなければなりません。周りが常に自分のことを気にかけてくれて、声をかけて助け舟を出してくれる。そんな環境は無くなるのです。

私がアルバイトをしていたときも、自分から人に質問したりできないんだろうな、という人がいました。そういった人は、問題を抱えても自分で何とかしようとして傷口を広げていき、周りから助け舟を出さざるを得ない状態にまで事態を悪化させます。何でもっと早く相談しなかったの？次からは気を付けてよ、などと言われますが、性格はそう簡単には変わりません。何度も失敗を重ねていく中で多少なりとも成長はしていくのでしょうが、その間無能のレッテルを張られ続けるわけです。その人は途中で辞めてしまいましたが…

保護者の皆さまの方が私よりもたくさん、そういった人を見てきたことかと思います。

塾で言えば、常に先生が気にかけて見てくれていて、少しでも手が止まっていれば、声をかけてくれる。多くの塾（特に個別指導塾）がそういった接し方をしています。生徒からすれば楽でしょう。それを「手厚い指導」と捉える方もいるかもしれません。しかし、そんな環境に慣れて自分を変えることができなかった子がそのまま大人になったらどうなってしまうのか。その時々の子供の快適さを優先したばかりに、のちの人生に大きな苦難を残すことは、何も知らない子供に対して非常に罪深いことだと思います。

またそのような子は大学受験に向けた勉強にも対応できません。教科数も多く、勉強量も一気に増える高校学習の中で、受動的なフォローで全てが解決することなんてありえません。自分から動いて解決できない限り受験の成功はありません。

自分で動けるような環境でしっかり訓練を積む必要があります。当塾の場合は、入塾初期でない限り私からいちいち理解度を直接確認することはしません。できない状態にあることが分かってもすぐに助け舟を出すことはありません。その子がどのように対処するのかを見守るようにしています。わからない所をスルーしていれば、いろいろツッコミを入れつつ、正しい直しのやり方や分からなかった時の対処を指導していきます。理解しないままスルーして死ぬほど突っ込まれるよりも、そのとき質問した方が楽だな、と思うことでしょう。

性格を変えていくことは難しいことです。しかしそのきっかけを作ってあげることは可能です。その先は本人の努力と意識次第ですが、まずはそういった環境に身を置くことで何かが変わるのではないかと考えています。