高校受験に向けて最も重要なテストはいつのテストかと聞かれれば多くの人が、後期の期末テストだと答えるかもしれません。たしかに高校受験で必要な内申点は中３後期の内申点です。それまでどれだけ内申がひどくても、中３後期で良い内申をもらうことができれば受験で有利になるわけです。

後期で内申が取れればよいという考え方は否定しませんが、おそらく塾関係者ならこんな考えはしません。むしろ成績に直結する後期よりも前期の方が重要だと考える人も多いはずです。私もその一人です。

どの学年でもそうですが、前期は教科書の最初のほうになります。理科や社会は別ですが、特に英語や数学などは基本事項であることが多く、しっかり練習すれば得点できます。一方後期になると、難易度は着実に上がっていきます。応用の幅も増え、単純な演習量だけではカバーできません。さらに中３の場合、後期の定期テストは受験を意識した実力問題が出題されることが多くなります。理科や社会などは中３前期までならテスト範囲の部分だけ頑張って覚えてしまえば点数につながりますが、後期はそうはいかなくなります。１，２年のときにサボってしまい、基礎が疎かな子が３年生の後期から頑張ったところで伸びは期待できないのです。

後期でしっかりと成績を伸ばすためには、前期でその足場を作っておくことが必要不可欠です。

前期中間テストでまず３年全体（特に数学英語）の足場をしっかり固めます。そして夏休みに１，２年の内容も含めて総復習に取り組み、忘れているところや、１，２年生の時にサボってしまったところを補います。夏休みは復習と同時に前期期末テストの準備もやらなければなりません。夏休みはやることがかなり多くなりますが、これこそ高校入試に向けた受験勉強です。ここでしっかり取り組めた子は前期で内申を確保し、後期への足場を作ることができるわけです。

一方で前期で努力を疎かにした子が後期に伸ばすことはかなり難しくなります。

後期の中間テストは１１月です。ただしこの後期中間テストは３回のテストで唯一長期連休を挟まないため、学校がある中でも日々コツコツ取り組んでいく意識がより必要なテストです。しかし前期でサボった子がテストに向けてそのような取り組みをするのはかなりハードルが高いことです。さらに内容も難しくなり、復習問題も増えるため、直近で学習した部分だけ勉強しても得点率は上がりません。そのような状況の中で特に中３は受験を意識して多くの子が勉強量を上げてきます。

後期で定期テストの得点率を上げることがどれほど難しいか分かると思います。前期で受験生としての意識や取り組み、そして内申を上げるための足場を作っておくことが大切です。