いろいろな子を見て来て、できないことや分からないことが恥ずかしいと思っている子が意外と多いことに気づきます。私が質問した時に、すぐに答えられなければダメ、分からないと言ってはいけない、など変な強迫観念みたいなものを持っている子も今まで何人も見てきました。できない、ということをばれたくないという心理なのだと思います。（このことに関しては今まで何度かブログに書いてきましたが、テスト前の今だからこそ改めて記事にしたいと思います。）

しかし、残念ながら分からないことやできない事が恥ずかしいことだと思っている子は伸びません。できない自分を周りに知られたくないと思っている子も同様です。できない子ができるようになるための一歩目とは、自分ができないことを自覚することです。そして、周りにサポートを求めていきながら、できるようになるために行動していくのです。

そもそも塾に通うのに、できないことが恥ずかしい、知られたくない、なんて思ってはいけません。病院に行くときに、病気になったことが恥ずかしい、病気であることは知られたくない、なんて思いませんよね。

できない自分を恥じて隠し、できないことをごまかし、周りにもサポートを求めず、自分の中だけで解決しようとしてもできず、結果そのまま何事もなかったかのようにスルーする。

こんな意識で勉強していてもできるようになるわけがありません。学生なら「勉強ができない」という評価だけで済みますが、これが社会人になったら完全に無能扱いです。会社に直で損失を与え、自分の給料、生活に響いてきてしまいます。いずれにせよ早期の意識改革が必要なのであれば、学生のときにしっかり意識を変えようと動かなければなりません。

塾に来る子を見ていても、勉強ができない子、その中でも特にできない事を恥ずかしいと思っている子ほど、私から離れた席に座る傾向にあります（もちろん全員ではないですが）。途中式や解いている過程を隠す傾向にあります。質問に対して考えもせず即答する傾向にあります。ミスした時に別に責めてもないのにいろんな言い訳を言う傾向にあります。分からない所を質問せずそのままにして帰ろうとする傾向にあります。

これらのことについて最初から生徒を責めるつもりはありません。今までの環境がそうさせてきた部分もありますから、生徒だっていわば被害者なのかもしれないわけです。当塾では、単に勉強を見るだけでなく、このような勉強に対する意識の部分もよく観察して指摘するようにしています。まずは指摘して、正しい意識を知ってもらった上で、声掛けを続けることで改善していければいいと思います。

意識を変えるというのは簡単なことではありません。人の性質を変えることにもつながるわけで、１回言うだけで改善できるものではありません。粘り強く声掛けしたり、失敗させて学ばせたりなど工夫は必要です。それでも直す意識が生まれないのなら、本人が気づくまで待つしかないのです。単に勉強を教える以上に難しいことかもしれません。ただ、その意識の部分が改善されれば、あとはやり方次第でどれだけでも可能性は広がると確信しています。