数年前に当塾で夏休み前のD判定から見事に第一志望に合格した生徒が、合格後に言っていたことが印象的でした。

その子は高２の１月に入塾し、そこから１年ほど当塾で受験勉強をしました。

 

夏休みに入るまではそれほど危機感もなく、週２日塾に通って２時間カリキュラムを進めて帰る、みたいな感じでした。質問もほとんどなし。

土日も３時間程度しかやれていませんでした。

 

結局夏休みまでE寄りのD判定が基本みたいな成績でした。

 

ところが夏休みに入ると見違えるように、午前中は家で勉強し、午後はほぼ毎日塾に来て６、７時間やるというのを習慣にし、９月以降もそのままの学習量を維持して、受験を迎えました。

 

そして結果合格。夏休み前でD判定からの見事な逆転合格でした。

 

合格後話しをしたとき、「夏休みから一気にスイッチが入ったけどなんかあったの？」と尋ねました。

 

するとその子は、私が記憶している限りこんなことを言っていました。

 

「スイッチは頑張って入れました」

「ここでやらないと受からないと思ってまずは１週間ガチると決めた。やってみたら思った以上に分からないことが多くて焦った。」

「この１ヶ月だけは！と思って勉強していたら、勝手に勉強時間は増えたし質問するようになっていた。」

「夏休みまでは言われてもどこか他人事だったけど、自分が頑張らないと受からないんだと思うようになった」

「あとは勉強する時間を完璧に決めて、それだけは守るようにした。」

「この１ヶ月だけは！と思って頑張ったけどそれが当たり前になったから９月からも続けて頑張れた」

 

その後、私が、「後輩の受験生に向けてこれやっとくよ良いよとかある？」と聞くとその子はこう言いました。

 

「ないです。受験は最初から最後まで自分次第で、人に勧められても、自分が本気でやろうと思わなきゃ意味ないし、受からないと思います。自分がそうだったので…」

 

 

受かる受験生、特に逆転合格を達成できるような受験生が持っている意識はまさにこれなのではないかと思います。

 

スイッチなど他人に入れてもらうものではなく、やる気など他人から与えてもらえるものではありません。

堕落した自分が受験生としてのスイッチを入れて、本気でやろうと思えるかどうか。

自分の人生の方向性を決める受験にどれだけ自分事として真摯に立ち向かえるか。

 

行動面ならともかく、こういった意識面はたとえ他人が言っても本人にその気がなければ変わりません。意識を変えることができるのは自分自身しかいないのです。

 

いま勉強で苦しんでいる高校１年生。部活にかまけて中だるみし勉強後まわしの高校２年生。

 

実力を伸ばすために一番大切なのは、楽して成績を上げてくれる夢のような場所を探し求めることではありません。

勉強における意識、習慣を変えることです。

意識と習慣がしっかりと変われば、あとは戦略。ここは自力で難しければ塾に頼るのもアリです。

 

もちろんどういう意識をもって勉強するかは当塾でも指導しています。しかしそれを本気で参考にして取り組もうと思うかどうかは皆さん次第です。

意識はどれだけでもごまかしがききますから。自分を律して取り組める子が逆転合格を掴むのだと思います。