今は部活や習い事が忙しいから、塾に通うのは中学３年生になってから、と考えている方もいらっしゃると思います。もちろんその考えを否定するつもりはありません。現に当塾でも中３から通って成績を上げている子もたくさんいます。その一方で、押さえておくべき懸念点もあります。

 

中３になって部活を引退して勉強時間もたくさんできるから、その分成績があがる、と考えている方は要注意です。勉強時間があるほど勉強できるから成績があがる、というのは早計です。以下で懸念点を３つ紹介します。数多くの中３を見てきた経験則に基づくものです。

 

 

 

①前期で結果を残せるだけの意識・習慣があるか。

前期の中間テストは、学年の最初なので難易度も低く、勉強しやすいはずです。数学などは計算問題が中心なので、練習量次第でどれだけでも伸ばせます。また３年生になったばかりで、まだ受験に対する意識が低い時期なので、学年の全体的な学力はまだ底上げされません。そのため順位も上げやすく内申につなげやすいのです。

一番点数が取りやすく、受験に対する意識も高くない最初のテストでしっかり結果を残せるだけの、勉強に対する意識と習慣をもっていなければなりません。このテストは６月頭に実施されるので、中３になって２ヶ月ほどしか時間がありません。もしそれが無いのなら、中３前期中間でしっかり結果を残すために、中２の後期くらいから塾を検討しておくべきです。

 

②長時間勉強できるだけの集中力が備わっているか。

多くの子が夏休み前に部活動を引退し、受験にむけて意識を切り替えてきます。前期中間のときから比べると学年の受験に対する意識がどんどん底上げされてくるわけです。

さらに問題なのは、夏休み明けの前期期末テストでは、受験を意識して前学年の内容も出題されます。１、２年でしっかりと勉強できなかった子は、夏休中に借金を返さなければ、点数を取ることが難しくなります。

そのため夏休みに借金を完済できるだけの勉強量をこなす必要があるわけですが、平均付近の子で、夏休みにそれだけの勉強量を確保できるようにするためには、夏休み前の段階である程度集中力が備わっていなければいけません。７月まで１、２時間程度しか集中できない子が、夏休みに突然６時間も集中して勉強できるようになるわけがないのです。

集中力がそれなりにあって、これまでの定期テストで最低でも平均点以上取れているならいいですが、そうでなければ夏休みからの挽回には相当な負担が伴うことを覚悟しなければなりません。

 

③後期までに１、２年の借金が完済できるか。

前期のテストは、特に英語や数学、理科などは独立した単元が多いため、しっかり勉強すれば、仮に１、２年でサボっていたとしてもある程度は結果につながります。しかし、後期に入ると、１，２年の基礎を基にした単元が増えるため、そこが疎かになってしまっている子は内容理解がかなり難しくなります。例えば、数学の二次関数、英語の後置修飾や関係代名詞、理科のイオンなどです。

また、前期中間はテスト前にGWを挟みますし、前期期末はテスト前に夏休みを挟みます。しかし後期中間はテスト前にまとまった連休はありません。日々の学習をしっかり習慣化し、夏休中に前学年の借金をすべて返済した上で、しっかり勉強量をこなしていく子だけが後期に結果を残せます。仮に借金が残ってしまっている場合は、テスト勉強以外の復習も受験勉強として取り組まなければならないので、負担が増えることはいうまでもありません。

 

 

 

 

以上の３点から、もし勉強に対する集中力や意識、習慣、そして中１、２年の基礎知識がないのであれば３年生から入塾して成績を上げるには大きな負担がかかることは間違いありません。少なくとも楽に成績を上げて、志望校に合格できるとは思わない方が賢明です。集中力や意識、習慣は数ヶ月程度で身に付くものではないからです。

 

前期中間、期末、後期中間、期末に行くにつれて成績を上げるための負担はどんどん上がっていきます。成績上位層は集中力も備わっており、勉強に対する負荷にも耐えられ、学習習慣もある子が多いので、塾に入るなど環境を変えたり戦略を示してもらうだけでも結果につながっていく可能性はあります。

 

逆に、成績が平均以下の子は、そういった部分が未熟な子が多いです。集中力や習慣がない、テスト前しか勉強しない、など勉強への意識が未熟な子は中３から塾に入ったとしても、適切な意識習慣が身に付く頃にはタイムオーバーになってしまうかもしれません。お子様の特性を見極めて塾に入るタイミングを考えて頂ければと思います。