勉強は解いた分だけ実力がつくわけではありません。１００問解いたのにテストで解けない子もいれば、１、２問の演習でテストで解けてしまう子もいます。これは１問に対する取り組みの精度の問題です。解いたときに、いかにその問題の理解を深められるか、他の問題に応用できるようにするか、その意識の差が理解度の差を生み、テストの点数の差になるのです。

では、本当に理解したのかどうかをどのように判断すれば良いのでしょうか。私は、その判断ができる問いかけをよく生徒にしています。

「なんでそうなったのかちょっと解説してみて」

これだけです。これだけでしっかり理解できているのか、そうでないのかが分かります。

特に勉強ができない子は、理解を深めることよりも、目の前の問題を終わらせることを優先しがちです。そのため、分からないままスルーしたり、何となくの理解で終わらせたり、解説を写してあたかも頑張ってやったように見せたりしてしまうのです。

このような取り組みでは、当然、しっかりと理解することなどできません。しっかりと理解できていなければいくら問題数をこなしても定着しません。

そこで先ほどの問いかけです。勉強できない子の多くが苦笑いするか、固まって何も言えなくなります。「ここがこうだからこうなって、こうなる」という何らかの解く手順があるはずです。それが分からないのに答えが出るなんてことはあり得ません。

理解の基準は、「人に解説できるかどうか」です。生徒がそこまで理解を深められるように、先ほどの問いかけをして、理解の基準を高めています。

頑張ったつもりなのにテストでは解けないという子は、１問への理解が浅いまま問題数だけこなしている可能性があります。そしてそのことを本人が自覚できていないケースが大半です。一度自分を先生と見立てて解説してみましょう。意外と理解できていないということがよくわかるかもしれません。